天塩町の農業
天塩町の農業について
日本最北の大河・天塩川は、その雄大な流域に肥沃な土地を形作ってきました。本町の農業も母なる川・天塩川のもたらしたその大地の上で取り組まれています。
中心となるのは専業化された大規模な酪農です。明治末から大正にかけて始められた畜産・酪農は、昭和32年の産業振興5ヶ年計画、35年の酪農振興計画などを契機として、町の発展を担う基幹産業の一つとして歩み続けてきました。経営の大型化や近代化、大規模草地改良事業などを柱とした取り組みの中で、ピーク時には、町内で飼育されている乳牛は約1万数千頭を数え、年間約5万トンの生乳を生産していました。こうして本町は道北圏の専業酪農地域として「北海道の酪農王国」と称されるようになりました。
近年は、貿易自由化など農業をとりまく国際的な環境が大きく動いています。そうした変化を踏まえ、経営の合理化・近代化・分業化・後継者対策などに努めながら経営体質の強化と安定化を図り、新たな時代にふさわしい酪農郷づくりを進めています。また、酪農家の労働負担軽減をはかるためのヘルパー制度、後継者対策のほか農業実習生や新規就農者を受け入れるシステムづくりが積極的に進められています。さらに、平成26年には預託牛の冬期舎飼を行う育成舎、平成30年にはTMRセンター、翌年には大型農業生産法人が稼働を開始し、酪農家の負担軽減に向けた取組が展開されています。
これらと併せて、国営及び道営事業により、生産基盤の強化が図られ、国営事業については、特に昭和22年から令和2年度までに整備をした、民安ダムや雄信内貯水池などのかんがい排水事業により、糞尿を畑に還元する、スラリー方式による肥培かんがいを展開しています。
道営事業についても、これまで基盤整備を主とした事業を計画的に行い、令和3年度から開始された「天塩創生地区」では飼料生産基盤の整備、草地の有効利用、コスト低減に向けた飼料自給率の向上等を推進し、大規模酪農経営の安定化を図ることを目指し事業が進められています。